低空思い出-5万円の消しゴム

 高校生のころだった。
通学の電車中のことだ。
朝から酔っ払った男が、ぼくたちにからんできた。
なんだかんだと不満をぶちまけるが、ぼくたちはまじめな高校生だ。

 で、いろいろ話をしているうちに、おっちゃんは、ぼくたちのまじめさにいたく感動したらしく、いきなり万札を取り出した。
5万円はあったと思う。
「にいちゃん、これで消しゴムを買いな」
おっちゃんは万札を押し付けてくるのだった。